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船橋競馬×うまレター
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人馬がつなぐ船橋ストーリー
フリオーソを訪ねて

中央・地方の垣根を越えて、競馬業界全体の活性化を目的に発行されるフリーマガジン「うまレター」とのコラボレーション企画の第4弾!

現在~過去を含め、船橋競馬の強い人馬を紹介していくこのコーナー。第4回目の今回は、9月1日(水)に船橋競馬場で「フリオーソレジェンドカップ」が開催されることにちなみ、船橋競馬が生んだ地方競馬の英雄フリオーソをご紹介。同馬が種牡馬生活を送るダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックス(北海道日高町)を訪ね、ノミネーションマネージャーの加治屋正太郎さんに近況をお伺いしてきました。

―― フリオーソは今年で17歳になりましたが、体調はいかがですか?
加治屋
 体調は変わらずに良いですよ。種牡馬入りして9年目になりますが、今年も無事に種付けシーズンを乗り切りました。種付けシーズンが終わった今は朝6時頃から昼過ぎまで放牧に出て、のんびりとリラックスしながら青草をいっぱい食べています。

―― 今年の種付頭数は?
加治屋
 今シーズンは1日2回に限定して種付けを行いましたので、60数頭におさまりました。昨年まで8年連続で100頭を超えていたのですが、年齢的にも無理はさせたくないですし、近年はダート系種牡馬が続々と種牡馬入りしてライバルも増えましたからね。

―― 2019年の種付頭数が175頭と一気に増えましたが、この大きな要因は?
加治屋
 初年度産駒のテルペリオンやホーリーブレイズが5歳で、2年目産駒のタイキフェルヴールや エイコーンが4歳で続々と中央オープン入りしたタイミングですね。その年の種付けシーズン終盤には、ヒカリオーソも東京ダービー馬になってくれました。

<編集者注1>
●フリオーソが種牡馬入りしてからの種付頭数
 2013年 136頭
 2014年 131頭
 2015年 113頭
 2016年 107頭
 2017年 147頭
 2018年 131頭
 2019年 175頭
 2020年 107頭

―― 種牡馬フリオーソのセールスポイントは?
加治屋
 何より強調できるのは、勝ち上がり率の高さですね。今年までに6世代がデビューし、4歳以上となる産駒の実にその7割以上が勝ち上がっていますから。

―― フリオーソ産駒の特徴は?
加治屋
 父に似て体がしっかりとしており、性格も従順なので仕上げやすい産駒が多いようです。鍛え上げられながらどんどん良くなってきて、中長距離のレースが増える古馬になってから活躍するパターンが目立ちますね。

―― フリオーソが種牡馬になってから、こちらへ会いに来た現役時代の関係者はいましたか?
加治屋
 川島(正行)先生がご存命の頃は、よく会いに来られました。毎回、コンディションや毛づやを熱心にチェックされていて、引退してからもすごく気にかけていただいていました。

―― 加治屋さんはフリオーソの現役時代の走りをどう見ていましたか?
加治屋
 ジョッキーの指示に対して従順で、レースではファイトを前面に出して真面目に一生懸命走っている姿が印象的でした。2歳の時に屈腱炎を発症し、その後も常に脚元の不安を抱えながら100%の仕上げができない中で、8歳まで一線級で戦いつづけたのは「凄い!」のひと言ですね。厩舎関係者の手厚いケアがあってこそですが、頭の良い馬なので、調教の際は「ここまでは大丈夫、これ以上は動かなくてもいい」というのが自分でわかっていたようです。その辺の話は佐藤裕太調教師が騎手時代にビッシリと調教をつけていたので、彼から詳しい話が聞けると思いますよ。

<編集者注2>
●フリオーソのGⅠ(JpnⅠ)勝利
 2006年(2歳) 全日本2歳優駿(GⅠ)
 2007年(3歳) ジャパンダートダービー(JpnⅠ)
 2008年(4歳) 帝王賞(JpnⅠ)
 2010年(6歳) 帝王賞(JpnⅠ)
 2011年(7歳) 川崎記念(JpnⅠ)
 2011年(7歳) かしわ記念(JpnⅠ)

―― フリオーソは生涯GⅠ(JpnⅠ)6勝を挙げましたが、加治屋さんが最も印象に残っているレースは?
加治屋
 7歳時のかしわ記念ですね。エスポワールシチー(当時6歳)やラヴェリータ(当時5歳)などの強いメンバーを相手に、4コーナーで先頭に立ってそのまま押し切った根性の走りには感動しました。

―― そのひとつ前のフェブラリーSも、芝スタートでダッシュつかずに後方からの競馬となり、直線でごぼう抜きをして2着に食い込むというインパクトのあるレースでした。
加治屋
 いつもと違う展開になるとまったく力を発揮できない馬もいますが、ああいう状況になっても騎手の指示に従い、最後までしっかりと走り切る姿がフリオーソという馬を象徴していましたね。


<編集者注3>
●フリオーソの2歳シーズン(2006年)
 2歳7月に船橋競馬場でデビューしたフリオーソは、初戦を2馬身差、2戦目を5馬身差で連勝。初重賞挑戦となった平和賞(船橋)は惜しくもハナ差届かなかったが、つづく全日本2歳優駿(GⅠ、川崎)を快勝して2歳ダートチャンピオンに。同年のNARグランプリ2歳最優秀馬に選出された。

●フリオーソの3歳シーズン(2007年)
 3歳春はJRAクラシックを目指し、共同通信杯(JpnⅢ、東京)、スプリングS(JpnⅡ、中山)に挑戦。しかし芝レースでは結果が出ず、南関東クラシックに矛先を替えたものの羽田盃(大井)3着、東京ダービー(大井)2着と惜敗。いずれも1番人気を裏切る結果となったが、三冠目のジャパンダートダービー(JpnⅠ、大井)でJRA勢を退けて真の3歳ダートチャンピオンに。秋シーズンも古馬相手にJBCクラシック(JpnⅠ、大井)2着、東京大賞典(JpnⅠ、大井)2着と健闘(勝ち馬はいずれもヴァーミリアン)。同年のNARグランプリ年度代表馬に輝いた。


2007年 ジャパンダートダービー 優勝時 (騎手:今野忠成)

●フリオーソの4歳シーズン(2008年)
 4歳シーズンは川崎記念(JpnⅠ、川崎)2着からスタートし、つづくダイオライト記念(JpnⅡ、船橋)で初めて戸崎圭太騎手とコンビを組んで地元ダートグレードを初勝利。以降は戸崎騎手が主戦を務める。そして帝王賞(JpnⅠ、大井)ではJRA勢相手に堂々の1番人気に支持され、その期待に応えて逃げ切り勝ち。秋シーズンは精彩を欠いたが、帝王賞の勝利が評価されて2年連続でNARグランプリ年度代表馬を獲得。


2008年 帝王賞 優勝時(騎手:戸崎圭太)

●フリオーソの5歳シーズン(2009年)
 前年と同じく川崎記念(JpnⅠ、川崎)2着、ダイオライト記念(JpnⅡ、船橋)連覇と好スタート。そして2歳時以来となる1600m戦のかしわ記念(JpnⅠ、船橋)に挑戦するも5着敗退(勝ち馬はエスポワールシチー)。連覇を目指した帝王賞(JpnⅠ、大井)も2着に敗れ(勝ち馬はヴァーミリアン)、デビュー以来初めてGⅠ(JpnⅠ)未勝利のシーズンとなる。

●フリオーソの6歳シーズン(2010年)
 川崎記念(JpnⅠ、川崎)を3年連続2着(勝ち馬はヴァーミリアン)すると、前年5着だったかしわ記念(JpnⅠ、船橋)も2着(勝ち馬はエスポワールシチー)。つづく帝王賞(JpnⅠ、大井)では、サクセスブロッケン、ヴァーミリアン、スマートファルコン、カネヒキリといったJRAの強豪を相手に2馬身半差の完勝。秋シーズンも、日本テレビ盃(JpnⅡ、船橋)を制して臨んだ地元開催のJBCクラシック(JpnⅠ、船橋)2着、東京大賞典(JpnⅠ、大井)2着(勝ち馬はいずれもスマートファルコン)と存在感を示し、2年ぶり3度目となるNARグランプリ年度代表馬の座を射止めた。


2010年 NARグランプリ年度代表馬受賞時

●フリオーソの7歳シーズン(2011年)
 4度目の挑戦で初めて川崎記念(JpnⅠ、川崎)を制すると、JRAのダートマイルGⅠ・フェブラリーS(GⅠ、東京)に参戦。スタートでダッシュつかずに後方からの競馬となったが、直線残り200mから猛然と追い込んで2着(勝ち馬はトランセンド)。その約3週間後に東日本大震災が発生。3月、4月の船橋開催は中止となり、5月のゴールデンウィーク開催からリスタート。そのメインとなるかしわ記念(JpnⅠ、船橋)でラヴェリータ、エスポワールシチーとの叩き合いを制し、悲願の地元JpnⅠ勝利を達成。地元ファンのみならず、全国の地方競馬ファンに勇気を与えた。その後に脚部不安を発症して長期休養を余儀なくされるが、春シーズンの成績が評価されて2年連続4度目のNARグランプリ年度代表馬に選ばれた。

●フリオーソの8歳シーズン(2012年)
 8ヶ月ぶりの実戦となった川崎記念(JpnⅠ、川崎)は3着、ダイオライト記念(JpnⅡ、船橋)も5着と休養前の勢いは感じられなくなったが、連覇の懸かったかしわ記念(JpnⅠ、船橋)で2着に入り健在ぶりをアピール(勝ち馬はエスポワールシチー)。そして、ラストランの舞台として選ばれたのは年末の大一番・東京大賞典(GⅠ、大井)。4歳馬ローマンレジェンドと3歳馬ハタノヴァンクールがワンツーして世代交代を象徴するようなレースとなり、フリオーソは6着に敗れた。

―― フリオーソのレースを現地で観たことは?
加治屋
 私がダーレーに入社したのが2008年(フリオーソ4歳時)で、それからずっとノミネーションの担当だったので、フリオーソが走っている姿は現地で観ていないんですよ。うちのスタリオンで種牡馬入りすることが決まり、船橋競馬場で引退式が行われた際に現地へ行って初めてフリオーソと会いました。多くのファンと関係者が集まって引退を惜しんでおられましたが、なかでも戸崎(圭太)騎手が涙を流していたのが印象深かったですね。改めて、凄い馬だったんだなと実感しました。

―― 今後のフリオーソに対する期待をお聞かせください。
加治屋
 2019年の最多種付け数を記録した時の産駒が現在1歳ですし、2020年に種付け料を50万円から100万円に上げたことで繁殖牝馬の質も総体的に良くなっています。ですから、これからデビューする馬の中にまだまだ大物がいると思いますよ。JRAの重賞勝馬も出てくるでしょうし、ゆくゆくはフリオーソ級の大物が出現してほしいと願っています。そんな大物が船橋の佐藤裕太厩舎から誕生したとしたら、本当に夢のある話ですね。

―― 9月1日に船橋競馬場で開催される「フリオーソレジェンドカップ」のレース名を聞いて、現役時代の雄姿を思い出すファンも多いと思います。当時から変わらずにフリオーソのことを気にかけてくれているファンにメッセージをお願いします。
加治屋
 昨年はコロナ禍で一般見学を中止しましたが、今年は今のところ一般見学を再開する予定でいます。その際には、ぜひフリオーソに会いに来てあげてください。そして、全国各地で活躍する産駒たちの走りにも注目していただけるとありがたいです。

―― 本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

取材・文/浜近英史
※取材日/2021年7月1日


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