


本作は、風邪で寝込んだ主人公のもとに、かつての幼馴染である北岡果林が突然やってくる??という、どこか懐かしさとドキドキを感じさせるシチュエーションから始まります。場面設定は「台風の日の夜」「体調不良」「久々の再会」という鉄板要素がそろっており、それだけでも引き込まれる導入ですが、本作ならではの“ひねり”として「主人公には現在、恋人がいる」という設定が加わります。
彼女に風邪をうつさないために看病を断った結果、疎遠だった果林が代わりに来る……という展開により、作品全体に漂う背徳感と微かな罪悪感、そして再燃する想いが絡み合い、ただの“看病もの”に留まらないドラマ性が生まれています。




8KVRならではの超至近距離映像が、物理的な“近さ”だけでなく、心理的な距離も縮めてくれます。果林が額を寄せて熱を測るシーンや、濡れタオルで体を拭いてくれる場面では、彼女の表情や息遣い、わずかな視線の揺れまで感じ取れる臨場感があります。
元ファッションモデルらしい華やかなルックスに反して、台所でお粥を作ってくれたり、熱を冷ますためにフーフーしてくれたりと、母性と恋心の混じったケアが男心をくすぐります。このギャップがたまりません。





ストーリーは比較的ゆっくりと進行し、チャプターごとに感情が少しずつ深まっていきます。雷に驚いて果林が抱きつく場面では、演技とは思えない自然な反応が印象的。ここから一気に、ふたりの距離が“心の面でも”近づいていきます。
特に、チャプター1のラストで彼女が見せる涙混じりの表情と、「もう来ないから…」というセリフには胸を打たれました。その後の「ずっとこうしたかった」という告白シーンは、まさにVRならではの没入感と、彼女の演技力が相まった名シーンです。


少し気になったのは、冒頭の訪問シーン。ドアのノック音やチャイムがリアルすぎて、VRで見るとびっくりするレベルです。音量を調整して視聴するのがオススメ。
また、全体として「激しい絡み」や「派手な体位変更」はなく、あくまで“心の交流”を重視した構成です。そのため、抜き目的オンリーでアクロバティックな展開を求めるユーザーにはやや物足りなく感じるかもしれません。



雷鳴と雨音が響く中で交わされるふたりの会話、沈黙、そして温もり。その全てがVRの世界でじんわりと心に染み入るような、静かで甘く、どこか切ない作品に仕上がっています。
派手さや刺激よりも、「想いがすれ違うせつなさ」や「再会のぬくもり」に重きを置いた作品を求めている方には、間違いなく刺さる内容です。